不妊治療は女性の問題と思われがちですが、不妊の原因が男性にある割合は、男性のみの場合と夫婦両方に有る場合をあわせて、約半数(48%)と言われています。
男性不妊の症状としては、精子の問題や生殖器の問題など様々ですが、今回は、精子の問題とセルフケアについてご紹介します。
検査での指摘事項
フーナーテストや精液検査の結果から指摘事項があった場合の精子の状態を説明していきます。
精子が少ない、精子濃度が低い、精子数の減少、など
これらは乏精子症の可能性があります。
現時点では1500万の精子が1mlの精液中にいることが最低基準値ですが、実際にはこの基準値を満たしていても、自然妊娠の確率が高いとは言えません。
できるだけ多い精子、実際には4000万/ml程度以上の濃度が望ましいようです。
また禁欲期間によっても、精子の数が変動します。
個人差がありますが、一般的に禁欲期間は2~4日間が最適と言われています。
精子の運動性が悪い、精子の動きが悪い、精子の元気がない、など
精子無力症かもしれません。
精子数は正常ではありますが、精子の運動率が悪い症状のことを言います。
精子のしっぽの部分の鞭毛の活動性が低下している状況です。
または精液の性質によって、精子の運動が阻害され、精子の運動低下になっている場合もあります。
精子の運動が非常に悪いときには、顕微授精を勧められることが多いかと思います。
ただ、精液検査の検体の環境によっても左右されます。
自宅から採精した精子検体を評価する場合など、気温の影響もありますし、不適切な容器の選択のため精子の運動が悪くなることもあります。
精子がいない
無精子症の疑いがあります。
無精子症は、大きく2つのタイプに分かれます。
無精子症には、睾丸の機能が低く精巣内の精子の数が極端に少ない非閉塞性無精子症と、精子の通り道が詰まっている閉塞性無精子症があります。
無精子症というと精子が全く存在しないと思われがちですが、無精子症と診断された場合でも、精巣内にわずかな精子を認められる場合もあるようです。
この場合は陰嚢から精子を採取し顕微授精を行うことができます。
フーナーテストで精子が少ない(無い)と言われた
精子の数が少ない可能性があります。
確定ではありませんので、精液検査を正確に行って精液のしっかりした評価を行うことが必要です。
フーナーテストが良好であれば精子の状況は良いと推測できます。
また女性の子宮頸部などの粘液と精子の相性も分かりますので、フーナーテストで精子が元気に動いていれば女性の体内でも活発に運動できる精子だと言えます。
精子の質が悪い、形態の異常、奇形が多い
精子奇形症の可能性があります。
正常形態の精子で、かつ運動性も保っている精子がある程度いれば多少の奇形精子がいても男性の妊娠力があると言えますが、正常精子が5%未満は顕微授精が必要となります。
精子の状態を改善するセルフケア
上記のいずれかの指摘があっても、精子は約3ヶ月で入れ替わるので、1回の精液検査で判断することは望ましくありません。
また、その時の精液検査の結果は、役3ヶ月の生活の積み重ねが影響してきます。
現在の状態が良くなかったとしても、生活習慣を見直すことで精子の状態が良くなることは充分に考えられるのです。
それでは、精子の状態を改善する為のセルフケアをお伝えします。
禁煙する
タバコの影響で精子の数も運動性も低下することはデータがあり20%弱も精子数が減少する可能性を示唆する研究結果もあります。健康のためにも喫煙はやめましょう。
禁欲しすぎない
一週間以上射精がないと精液中の死滅精子など不良精子の割合が増加します。
毎日射精する必要性はないですが、週一回程度は定期的に射精して精液中の精子のリフレッシュを常に考えたほうが良いと思います。
精子は新しく作られますので、射精が多くて枯渇することは基本的にはありません。
ただ、連日ですと減少する方もいらっしゃいますので、2~4日間が目安となります。
運動する
運動不足は、全身の健康状態の悪化、基礎体力の低下につながり、筋力低下や生活習慣病誘発の原因にもなります。デスクワークで長時間で座りっぱなしになっていませんか?
男性の長時間の座りっぱなしは、会陰部や陰嚢部の圧迫やうっ血の傾向を助長するリスクを上昇させます。
性機能への悪影響や、慢性的な前立腺炎症状の悪化にも関連があるとされています。
下肢全体の血流障害にもつながりますので、長時間の座位のお仕事などの場合には、時々立ち上がったり、通勤時間にウォーキングを取り入れるなど、身体を動かす意識を持ちましょう。
バランスのよい食事を心がける
バランスの良い食事のキーワードは、『まごわやさしい』です。
ま(豆類)、ご(ごま)、わ(わかめ・海藻類)、や(野菜)、さ(魚介類)、し(しいたけ・キノコ類)、い(イモ類)
昔ながらの食卓を思い浮かべてみると良いですね!!
朝食は、玄米+具だくさん味噌汁+納豆+漬物でOK。
添加物や脂っこいもの、甘いもの、小麦製品、乳製品などの摂りすぎには注意しましょう。
また、精子の健康には「亜鉛」「アルギニン」「鉄分」「セレン」が大切です。
亜鉛 :牡蠣、うなぎ、牛もも肉 など → 精子の数を増やす
アルギニン :ゴマ、大豆、納豆、カツオ など → 精子の数を増やす
鉄分 :青のり、ひじき、あさり、しじみ など → 精子の質を高める
セレン :かつお節、イワシ、ホタテ など → 精子の質を高める
その他にトマトのリコピンは活性酸素消去脳があり、精子の運動率の向上にも効果的です。
アルコールはごく少量で
習慣的なアルコール摂取も精子形成にはマイナスとなります。
基本的にアルコールは摂取する必要性は全くない栄養素です。
徐々に飲む回数や量を減らして、週末に1杯程度を目指しましょう。
睡眠の質
寝る前のスマホやパソコン作業はやめましょう。睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。
また、夕食を食べてから2時間以上は空ける、夕食は食べ過ぎないといったことに注意するだけでも、睡眠の質は改善されます。
質の良い睡眠は自律神経のバランスを整えてくれます。
温め過ぎに注意
陰嚢部の温度上昇に気をつけましょう。
精子が順調にされるためには陰嚢の温度が体温より数度低く維持されることが望ましい環境なのです。
ボクサーパンツなどのタイトな下着の着用であったり、長時間座ってデスクワークで陰嚢が蒸れて高温になることは、精子形成にはよくないことです。
肥満の場合には、大腿部のお肉で陰嚢周囲の空間が減少して陰嚢内部の温度が上昇しやすくなることが分かっています。
また、過剰なサウナ浴や、長時間の熱い風呂の入浴なども控えましょう。
今回は男性不妊についてお伝えしましたが、どちらに問題があるかは関係なく、妊活は夫婦で取り組むことが大切です。
食事や睡眠や運動は、健康の面から見ても重要です。
ご夫婦でたくさん話し合って、一緒に料理したり、散歩したり、二人の時間を共有してくださいね!!
また、ご相談も承りますので、上尾の妊活サポートは「コンディショニングサロンkamika」へお越しください!!